2021.8.21 | 介護・介助の基礎知識 | BPSDの興奮について
今回のコラムでは、BPSDのひとつである興奮について説明していきます。
認知症の方にひどいことを言われたり、暴力を振るわれたりするというのは実は、よく起こりうることです。
その原因は大きくわけて2つ。
一つ目は、記憶力の低下です。認知症の方は、以前に言われたことは忘れている場合が多いのですが、自分にとって嫌なことや不快なことは覚えているケースが多くあります。
例えば、介護者が毎日のように注意すると、「うるさく言われる」というストレスだけは記憶に残っていることもあります。
そのイライラが限界に達すると、「うるさい!」という暴言や暴力に発展してしまうことがあるのです。
二つ目は、うつと同じく不安や戸惑いです。
これは、自立心やプライドが強い方にみられがちな症状で、その思いが強ければ強いほど、「できなくなってしまった自分」に腹が立ち、自分の中でその気持ちを処理できずに周囲にあたってしまうのです。
また、そうした自分を世話してくれる周囲の人に迷惑をかけているという猜疑心が、興奮につながることもあります。
興奮が起こる理由を理解しておくことで、介護者のケアを工夫することが大切です。
次回のコラムでは、認知症にみられる徘徊について説明していきます。