2022.6.4 | 介護コラム | 16疾病(多系統萎縮症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症)
前回のコラムで16の特定疾病の「脊髄小脳変性症」「脊柱管狭窄症」「早老症」をご紹介させていただきました。
今回のコラムでは、「多系統萎縮症」「糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症」を詳しくご紹介させていただきます。
●多系統萎縮症
多系統萎縮症は、非遺伝性の脊髄小脳変性症による代表的な疾患で、発症の原因はまだ解明されてないのが現状です。
大きく、「線条体黒質変性症」「オリーブ橋小脳萎縮症」「シャイ・ドレーガー症候群」の3つに分けられます。
線条体黒質変性症は、50歳以上に発症することが多く、表情が乏しくなったり、動作が緩慢になる等の症状が現れます。
オリーブ橋小脳萎縮症は、40歳以上で発症することが多く、日本では最も患者数が多い多系統萎縮症です。
起立時・歩行時におけるふらつき、ろれつが回らない、手先を正確に動かせない、といったことが典型的な症状です。
シャイ・ドレーガー症候群は、50歳以上で発症することが多く、立ちくらみ、尿失禁といった自律神経の障害症状がみられます。
●糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
神経障害・腎症・網膜症はいずれも、糖尿病が進行することでもたらされる合併症です。
糖尿病性神経障害は、神経に栄養を送り届けている細かい血管が傷つき、神経がダメージを受けて起こる合併症です。
ダメージを受ける神経には感覚神経、運動神経、自律神経の3種類があり、糖尿病性神経障害で現れる症状は、傷ついた神経の種類によって感覚神経障害、運動神経障害、自律神経障害に分類されます。
また、どの部位の神経がどのくらい傷ついたかによって、現れる症状が変わってきます。
糖尿病性腎症は、タンパク質が尿に漏れることで、徐々に腎臓の働きが落ちてきてしまう病気です。
糖尿病性網膜症は、高い血糖値にずっと晒されることで網膜の血管が傷つき出血(いわゆる眼底出血)するのがです。
糖尿病そのものは特定疾病とは認められませんが、3種類の合併症についてはそれぞれ複雑な基準が設けられており、すべてを満たした場合に特定疾病として認められます。
次回のコラムでは、「脳血管疾患」「閉塞性動脈硬化症」「慢性閉塞性肺疾患」「両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症」についてご紹介させていただきます。