2022.1.29 | 介護・介助の基礎知識 | 高齢者の骨折・転倒の原因
今回のコラムでは、高齢者の骨折・転倒の原因について説明させていただきます。
高齢者の方が転倒しやすい理由は、以下の2つがあります。
①身体的要因:体や感覚の衰え
②環境要因:生活環境にかかわるもの
身体的要因としてまず挙げられるのは、視覚と聴力が加齢とともに衰えてしまい、周囲の状況が把握しづらくなるというものです。
高齢になると視力が低下するだけでなく、目の調節能力も衰え、明暗の変化に慣れるまで時間がかかるようになるため、
急な停電等の中での事故も多くあります。
白内障や緑内障になると、視野も狭くなり段差も気づきにくくなるため、転倒しやすくなります。
また、高齢になると平衡感覚が鈍くなるほか、歩行速度が落ち歩幅が狭くなります。
そうなると歩くときのリズムが崩れやすくなってしまい、転倒の原因となります。
さらに、骨がもろくなってしまう骨粗しょう症や筋力の低下、薬の副作用によるふらつきやめまいなどで転倒することも少なくありません。
認知症をはじめ、起立性低血圧や関節リウマチなども転倒の原因になることがあります。
一方、環境的要因としては、まず生活環境や設備状況などが挙げられます。
家の中に「滑りやすい床」や「小さな段差」などが多いと、転倒のリスクは高まります。
脱げやすいスリッパや、滑り止めのついていない厚手の靴下などを普段から履いている場合も危険です。
要介護状態の場合は、体と大きさの合わない車椅子や補助具を使っていることも、転倒を引き起こす原因になります。
また、ペットを飼っている場合は、歩行時や離床時に足元にじゃれついて、そのせいで転倒するというケースも多いので注意が必要です。
転倒の原因を知ることで、原因を取り除いたり避ける対処ができます。
特に環境要因に関しては、対策が行いやすいものですので、ぜひ身の周りの環境を今一度見直してみてはいかがでしょうか。
次回のコラムでは、高齢者の関節疾患についてご説明させていただきます。